世界の速さを体感した経験が、
進化の一歩になる。
陸上 男子4×400mリレー出場
鈴木 碧斗
SUZUKI AOTO
日本が今できる最高の走りを目指して。
初出場となる五輪、会場の雰囲気や空気感はいかがでしたか。
これまで国立競技場へ入ったことはありましたが、五輪では過去に感じたことのない雰囲気や独特の緊張感がありました。アップしているときから周りには世界トップレベルの選手が走っているのが見えますし、アンカーとして待っている時間も海外の選手に囲まれていました。そうした状況からも、自分が世界の舞台で戦っていることを実感しました。
レースには、どのようなことを意識して臨んだのでしょうか。
レースの序盤からしっかりとスピードを出して、そのまま他の選手を前に出さないようにゴールすることを狙っていました。しかし、海外選手は本当にスピードがあり、200mを超えたあたりで二人の選手に抜かれてしまいました。レース終盤に向けて力を温存する意識もあったのですが、戦略的に上手くいかなかったと感じています。
リレーメンバーは全員私より年上だったので、特にバトンパスについて、丁寧に教えてもらいました。日本代表クラスのバトンパスへのこだわりを感じられたことは、自分にとってとても新鮮で、今後に向けた貴重な経験になったと思います。
今回の走りを振り返って、どのようなことを感じていますか。
緊張感をもち、「これからやるぞ!」という気持ちで集中して臨みましたが、結果は予選5位。ゴールした時点で決勝には進めないことがわかり、悔しかったです。ただ、電光掲示板には「日本タイ記録」のマークが表示されていたので、少し救われた気がしました。レース前に「日本記録は出さないと決勝には進めない」とチーム全員で目標にしていたんです。しかし、私たちが出した日本タイ記録は3分00秒76、決勝進出のタイムは2分59秒37だったので、日本記録を1秒以上更新しないと今大会では決勝に進めなかった。より高みを目指して目標を再設定しなければならないと感じています。また東京五輪には、私たちが銀メダルを獲得した2021年の世界リレーに出場していなかった国も多く、この大会を通して世界にはまだまだ強い国があることを実感しました。
いつも通りの自分であるために。
レース前のルーティンや心がけていることはありますか。
レース前は、音楽を聴くことが多いですね。音楽を聴くことで、リラックスというか、周りに左右されず、いつも通りの自分に戻していくイメージです。スポーツ選手だと、速いテンポの曲などを聴くことが多いかも知れませんが、私は好きなアーティストの音楽を聴いているので、なかにはゆったりした曲もありますね。大会期間中も、休憩しているときに聴いていました。
選手村では、どのように過ごしていましたか。
部屋に戻ったときは基本的に好きなことができるので、みんなで話をしたりしてリラックスしていました。また食事も、良いリフレッシュの時間でしたね。見たことがない食べ物もあり、全種類は食べきれなかったのですが、どれも美味しく、張り詰めた気持ちを休められたと思います。食べることはすごく好きなので、普段でも休日にはカフェに行ったりして気分転換をすることが多いですね。
まずは世界陸上を見据え、世界へ挑む。
今大会での経験から、ご自身の課題はどのようなところだとお考えですか。
自分はスピードタイプだと自覚していましたが、この五輪で海外の選手と走ってみて、まだまだスピード不足だと実感しました。今後は体力をつけることも大事ですが、スピードにより一層こだわりたいと考えています。最初の爆発力に加え、トップスピードの限界値も上げていきたいですね。
今後の目標について教えてください。
次のパリ大会は2年後なので、自分にとっては、まだかなり遠い目標。そこに向けて、という意識はまだできていません。まずは、今年の世界陸上に個人で出場したいという思いが強いですね。200mの標準記録である20秒24を狙っていきたいと考えています。
東京大会後、多くの方々から「お疲れ様」等のメッセージをいただき、五輪の社会的な影響力を感じるとともに、とてもうれしい気持ちでいっぱいになりました。これからも、みなさんの期待に応える走りをしていきたいと思います!
INTERVIEW MOVIE
PROFILE
鈴木 碧斗 SUZUKI Aoto
篮球即时比分
法学部企業法学科 2年(大会出場時)
陸上競技部短距離部門所属
2001年5月30日生まれ。埼玉県出身。さいたま市立大宮北高等学校卒業。自己ベスト400m:45.94(2021.6 デンカチャレンジ)。2021年5月の関東学生対校選手権の男子200mで優勝するなど、スピードが持ち味の選手。世界リレー4×400mRでアンカーを務めて日本の銀メダル獲得に貢献、日本選手権400mで第3位などの成績を残し、東京五輪で初の日本代表に選出された。東京五輪4×400mRではアンカーを務め、決勝進出は逃したものの3:00.76の日本タイ記録を打ち出した。