
顔は猿、体は狸、手足は虎、尾は蛇と、異なる動物を掛け合わせた妖怪。平安時代の文献では、天皇に病をもたらしたとして退治され、その後も民衆にたたりの存在として恐れられていた。しかし、現在においては、鵺の死体が埋まっているとされる地域では「守り神のような存在」として信仰されているほか、大阪港の紋章にも鵺をアレンジしたモチーフが使われているなど、恐れから転じて守る存在として市民からの「人気」を集めている。
参考:大阪市「大阪港の紋章」/日本経済新聞「もっと関西大阪港、鵺が紋章港の顔に妖怪守り神に」
- 基礎情報
- 鵺(ぬえ)
[大きさ] 3m(推定)
[好きな時間] 丑の刻
[特徴] 不気味な声
鵺が異なる動物を掛け合わせた妖怪のように、トライアスロンもスイム?バイク?ランの3種目を1人が連続して行う競技。鍛え上げた鉄人のみが完走できるという意味で「アイアンマンレース」と称されることから、肉体の限界に挑戦する『過酷』で厳しいスポーツというイメージが強い。しかし、オリンピックをはじめとするさまざまな世界大会の中には、3種目の実施距離の設定がレベルごとに分けられているものもあり、完走しやすい工夫がなされている。
さらには、3種目とも有酸素運動の代表格であり、エアロビクス効果が高くバランスよく筋肉をつけることが可能。ダイエットや健康の維持?増進にも適していることから、近年「人気」のスポーツとして注目を集めている。
【参考】日本トライアスロン連合「トライアスロンとは?」

スポーツには近代五種、陸上競技十種競技?七種競技、ノルディック複合、ノルディックバイアスロンなど複合競技がいくつもありますが、その中でもトライアスロンは、構成するスイム?バイク?ランの3種目すべて有酸素運動である点が特徴的です。各種目で使われる筋肉が異なるうえ、種目ごとで筋肉の使われ方も異なりますが、共通して重要な体幹部分の筋持久力に加えて、3種目に必要なスキルなどをバランス良く伸ばすことも必要になります。
スイムは他の2種目と大きく異なり、上半身が非常に重要な種目で上腕三頭筋、三角筋、大胸筋などによって推進力が得られます。一方、バイクとランは下半身の大腿四頭筋?大腿三頭筋?腸腰筋、大殿筋、腓腹筋?ヒラメ筋などが重要である点で似ていますが、バイクは路面からの衝撃がないことと、筋肉が引き延ばされながら収縮するエキセントリック収縮がほとんどみられない点がランと異なります。また、バイクは集団における位置取りなどの戦術が勝負を左右する種目でもあります。オリンピックでは最後に10㎞を走りますが、男子のトップクラスの選手は約30分でゴールします。箱根駅伝で活躍するトップクラスの選手が10kmを28分前後で走ることと比較すると、陸上長距離選手に比べ上半身がしっかりしたトライアスロンの選手が、スイムとバイクの2種目を終えたあとに約30分というタイムで走り切ることは、どれだけ速いことか分かると思います。
そして忘れてはならないのが、種目の切り替え時「トランジット」です。ほぼ無重力のスイムを終えた選手は重力を強く感じながらバイクに移行し、ヘルメットやシューズを身につけて走り出さなくてはなくてはなりません。バイクを終えた選手は、路面からの衝撃を受け、エキセントリック収縮に違和感を覚えながらランを始めることになります。選手の中には得意種目にトランジットを挙げる人もいるほどで、トランジットをスムーズに行えるかどうかも試合結果に影響を及ぼします。
このように有酸素運動の組み合わせであるトライアスロンは、日頃から継続的に練習を行えば、全身のトレーニングを行っていることになるため、健康の維持?増進にも効果的と言えるでしょう。



妖怪イラスト:伊野孝行
(イラストレーター?篮球即时比分法学部卒業生)